小説
[End of the Fight] 戦闘が終わった。嘗ての神話の撃鉄の嘶きを彷彿とさせる、演舞場を駆け巡る爆炎の熱気。 まだ、私には眼前の出来事が理解できないでいた。 一度(ひとたび)起動すれば止めることが出来ないと信じられてきた、王なる赤。止められた刻(とき)…
[5] 望むにせよ望まないにせよ、それは実行される。そこに本人の意思は介在しない。何故なら、「本人」は既に死んでいるからだ。 [0] [0] [4] 死者の蘇生は何の犠牲なしではできない、何らかの「素材」が必要である。それは「肉体」なのか、「魂」なのか、或…
[Dead End] 目を覚ます。はっきりしない意識から、徐々に覚醒する、脳への血流を感じ取りながら、洗面台へ向かい、蛇口を捻る。水を手で掬い、顔を洗う。冬の朝、極限まで冷えた水は、目を覚ますには十分すぎるほどの刺激だった。 ……唐突に、あの日のことを…
[零] 人を殺したことなどなかった。 それは妄想の内? 「実際に体験したことでなければリアリティが出ない」という妄想否定論者に対する反論「それじゃあミステリィで殺人を描くために、作者は人を殺さなければならないのか?」。全く馬鹿馬鹿しい。リアルと…
0: 傷つくことが怖かった。皮膚の下に流れる血の音。皮膚の外を流れる血の色。命の証としての赤は、やがて酸素と結合し、黒く染まる。 傷つきたくなかったから、傷つけた。剣を振るう間は、何も考えずにすむ。何も考えていない間は、自分が傷ついているこ…
そもそも、西尾氏が書いているのは、ミステリィなのか、それともライトノベルなのか。 そんな疑問は持つだけ無駄である。 これは大抵の「分類」に言える事であるが、 そもそも、「分類」とは、「同じようなものを纏めると便利だよね」という発想から生まれた…
読むのに3日間も掛かってしまった。 分量(文量)が多かったせいではない。この程度、4時間もあれば読みきれる。 じゃあなんでかっていうと、これはもう前半部のつまらなさに尽きる。 あまりに説明が多すぎて(というより冗長すぎて)、萎えてしまうのだ。 いや…